登山は楽しさいっぱい、危険もいっぱい
登山には感動や癒しがたくさんありますが、危険なこともいっぱいあります。
どんな危険があるのか、あらかじめ知っておくことでそのリスクもある程度減らすことが出来ます。
北アルプスの岩登りと低山ではその危険度も違いますが、低山にも岩登りがある場合があるので、それも踏まえて、どんな危険があるのか、どうすればいいのかを見ていきましょう。
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道迷い
低山だからといって道迷いなどないと思ってはいけません。
近くに他の登山者がいない、自分たちだけの場合は特に注意が必要です。
前にも書きましたが、道に迷ったと思ったら、第一に今来た道を引き返すことを考えてください。
下手に、地図とコンパスを使ってショートカットして正しい登山道に戻ろうなんて考えないでください。
私も、過去に北アルプスで、霧による視界不良の中、知らないうちに登山道でないところを歩いていたことがありました。
かなり標高の高いところだったので、登山道と言うより、前面ザレ場(石や岩の斜面)になっていて、頼りは遠くに見える白い○のマークだけというような場所でした。
(白い○のマーク:進行方向を示すために岩に白いペンキで大きく書かれたマーク)
しかし、そのときは視界不良でそのマークが見えませんでした。
しばらくすると、ますます足元がザレザレになってきて、明らかに登山道ではないと気が付いたときにはかなり下った後でした。
下って来たということはわかっていたので、上り返すのは正直イヤだなと思いながら、止むを得ずまっすぐ引き返して、事なきを得ました。
この時、まっすぐ引き返さず斜めに登って正しい登山道に戻るという選択肢もありましたが、視界不良の中ではどうなっていたかわかりません。
さらに迷って違った方向に向かっていたかもしれません。
それ以来、道迷いはありませんが、そのときのことは今の教訓になっています。
迷ったときは、今来た道を引き返すことが大切です。
転倒・滑落によるケガ
これはどんな山でも関係なく、あるいはハイキングコースのようなところでも注意が必要です。
転倒については特に下りが要注意です。
これも私事で恐縮ですが、低山の、やはり下りでの出来事です。
下りは、足も疲れています。
ひざも疲労しています。
そんなときでした。
普通の登山道でした。
特に急斜面というわけでもありませんでした。
少しハイスピードで下っていたこともありましたが、本当に小さな石につまずいて転倒してしまいました。
普通の舗装道なら問題はなかったのですが、転倒したところにちょうど尖った太さ三センチ長さ五センチほどの切り株があったのです。
反射的に地面に手をついて、事なきを得ましたが、その切り株はもう少しで私の下腹部に突き刺さるところでした。
本当に危なかったです。
アザ程度で済みましたが、もし刺さっていたら、山の中で救急車も呼べずに、ひょっとしたら出血多量で死んでいたかもしれません。
低山ということで少しなめていました。
慢心が生んだ転倒でした。
また、転倒だけでなく、滑落にも注意しましょう。
山によっては、低山でも岩場を鎖を使って登ったりハシゴを登るようなところがあります。
北アルプス登山の練習にもなるので、気を抜かず、三点支持法で登るようにしましょう。
(三点支持法:岩を登るとき、両手両足の合計四本のうちどれか三本は必ず岩にかかっている状態で登る方法)
補足
岩場には時々、クライミング用のアンカー(アンカーボルト)が打ってあることがあります。
(アンカーとはそこにカラビナを取り付けてロープの支点となるものです)
アンカーにはちょうど指が入るくらいの穴が開いていて、岩登りのときついその穴に指を入れて登りたくなるのですが、危険なので絶対やめてください。
もし、三点支持の最中に足を滑らせたら、あなたの指はあなたの体重を支えきれません。
最悪の場合あなたの指は千切れてしまいます。
アンカー自体に指をかけるのはかまいませんが、穴には絶対指を通さないでください。
バテ(疲労)
バテると歩みにキレがなくなりバランスを崩しやすくなります。
バテだけでなく、筋肉疲労、ひざ関節や足の痛みなどから、変な歩き方になっているときもバランスを崩しやすいです。
疲労を感じてきたら、よりいっそう慎重になることです。
漫然と歩いていてはいけません。
そうならないためにも、水分と行動食を適度に摂取することとゆっくり登る(降りる)ことを心がけましょう。
登山道の崩落
ほとんどの山は登山道がしっかり整備されています。
しかし、大雨の後などは水流が多く渡るのに危険を伴うような状況になったり、大木が倒れて登山道をふさいでいたり、登山道自体が、土砂崩れを起こして崩壊している場合もあります。
こればかりはあらかじめ予想するのが難しく、完全なアクシデントでありハプニングです。
状況をよく見て、注意して通るか、大きく迂回するか、登山自体をそこで中止にするかを判断しなければなりません。
絶対的な答えはありません。
ただ、その判断には謙虚さを忘れないでください。
何とかなるだろうではなく、用心して迂回するとか、勇気を出して引き返すことを積極的に選択してください。
迂回する場合も、本来の登山道でないところを歩く場合は滑落などに十分に注意してください。
いつものように上から目線の論調になってしまいましたが、私だっていつ危険な状況になるかわかりません。
これは私自身への戒めでもあります。
登山の危険とその対策はまだまだ続きます。
次回、あらためてご紹介します。