今回は、山の天気にまつわるうんちくをご紹介します。
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「標高の高い山は、午前中晴れていても午後からは雲が多くなり落雷の危険がある(夏季)」
北アルプスのような標高の高いところでは、昼近くになると雲が発生しやすくなります。
気温の低い早朝も、太陽が高くなるにつれて次第に地面が熱せられ、上昇気流が発生し、山頂近くで冷やされ雲になります。
時には、落雷の恐れもあり、夏季の高い山は出来るだけ昼過ぎまでに行動を終えるこが大切です。
高い山での落雷は、さえぎるものも少なくとても危険です。
雲と行っても、どんよりした曇りではなく、積乱雲のような“わた雲”です。
昼頃になると、遠くに見える山の上にも雲が発生しているのがよく見えます。
夏山は、朝早くから登って、昼すぎには山小屋に到着するよう計画を立てましょう。
「気温は1000M高くなるごとに、約6℃温度が下がる」
これまでにも何度か書いていますが、天気のうんちくということで、あらためて書きます。
例えば、3000M級の山などとよく言われますが、3000Mといえば、約18℃も違うことになります。
その地方の天気予報から、おおよその気温がわかりますね。
登る山の標高はネットや地図で調べればわかります。
必要な服装もおおよそ判断がつきますね。
でも、次に示すように風の強さによっても寒さは違うので、地上と同じように考えてはいけませんよ。
「風が強ければ、感じる温度も違う」
いわゆる、体感温度というものです。
一般的には、1M/秒(風速)につき1℃下がるといわれています。
1M/秒の風がどの程度かわかりにくいですが、風の強さが人体に影響を及ぼすことは間違いありません。
こまめな服の脱ぎ着で、寒さ暑さを調整することが大切です。
標高の高い山の縦走では、場所が少し違うだけで、風の強さがいきなり変わったりします。
当たり前といえば当たり前ですが、尾根の右と左でも風の強さは全然違います。
なので、脱いだ服装はまたすぐ取り出せるように、ザックの一番上に丸めて放り込んでおくのがいいですね。
「下界では曇り空でも、山の上ではきれいな雲海が見える」
とは限りませんが、雲海の上はきれいに晴れていることが多いです。
時には、雲海の雲の層からさらに高いところに別の雲の層がある場合もあります。
つまり、雲が2層になっているということですね。
さらにその上に別の層があるかどうかはわかりませんけど。
下界では曇っていても、山の上では晴れている事もあるということです。
夕暮れの雲海もきれいですが、やはり日の出前後の雲海は、凛とした朝の澄んだ空気とあいまって、より美しく感じます。
日の出の後は、時間と共に雲海も晴れていきます。
雲海のメカニズムはわからないけど、山の上から見る雲海はとても美しいですね。
「天候の悪い時ほど、雷鳥に出会える」
天気の悪い日は、見通しが悪くなります。
そんなとき、北アルプスでは雷鳥をよく見かけます。
大雨というより、多少の雨や、あたりが霧に覆われたようなときです。
一般的には、見通しが悪くなると天敵から見つけられにくくなるので、活動し始めるようです。
※諸説あります
天候の悪いときでも、雷鳥を見ると、瞬間癒されます。
親子そろって、何羽も見ることもあります。
あまりに近くへ寄っていくと逃げますが、さもなければ、逃げて行ったりはしません。
なので、間近で観察することが出来ます。
ただし、脅かすようなことは絶対しないでください。
雷鳥はその個体数の少なさもあって、天然記念物というだけにとどまらず、希少動物に指定されているほどです。
大切にしましょう。
私は冬の北アルプスには行かないので、羽が茶色の雷鳥しか見たことはありませんが、冬になると、羽は真っ白に生え変わり、雪の色と同化して敵から身を守ります。
「標高が高くなると沸点が低くなる」
私も難しいことはわかりませんが、気圧が低いと水の分子が動きやすくなることに起因するようです。
標高3000Mともなると、沸点は90℃くらいになります。
沸点が低くなって困ることはそれほど多くはありませんが、一番は調理をするときです。
例えば、カップ麺を作るときは特に実感します。
お湯を入れて3分たっただけでは、明らかに麺が硬いのがわかります。
登山を始めて間もない頃は、その原因が標高であることを知らず、きっと山の上は寒いからだろうと思っていました。
現在は、待つ時間を少し長めしています。
4分ほど待ちますが、丁度いい感じです。
ほかにも、標高が高いと沸点までにかかる時間が早いです。
早いのはメリットともいえますね。
当たり前の話ですが、水をどれだけ熱しても、沸点以上の温度にはなりませんので、沸騰したら、ガスを止めてくださいね。
ちなみに、気圧が低くなると、密封されたお菓子の袋はパンパンに膨れ上がります。
もちろん、カップ麺の蓋も膨らみますよ。
「曇っていても突然晴れたり、また曇ったり、山の天気は移り気」
せっかくの登山も、ずーっと曇り空だったらちょっとさびしいですが、風が吹いているときなどは、突然雲が切れて、そのスキマから遠くが見渡せたり、太陽が顔をのぞかせる事もよくあります。
そんなときは、ちょっとうれしくなります。
そのまま、晴れ上がっていく事もあれば、ちょっとだけ期待させてすぐにまた一面曇り空に戻ってしまう事もよくあります。
雲の切れ間も、一部分だけの事もあるので、足元ばっかり見て歩いてないで、たまには立ち止まって空を見上げてみてください。
時には、自分の後ろの空が晴れていることもあります。
前ばかり見ていてはわかりません。
振り返るときは立ち止まってください。
歩きながら振り返るのは危険ですからね。
ということで、いろいろご紹介しましたが、次回はさくっと天気図や空を見ておおよその天気を予想してみます。
天気図については、中学で習った程度のことですが、これが意外と役に立っているのでご紹介します。