登山のときはいつも天気が気になります。
日帰りなら、朝から雨が降っていたら中止にしますが、縦走で連泊の場合は、必ずしも中止にはしません。
雨の中を登って、山小屋に一泊した翌日が快晴になる事も多々あります。
これまでにも、天気予報では絶対雨だったのに、山小屋で朝を迎えたら晴れていたなんてことはよくあります。
それなら、天気予報なんて関係ない、とはいきません。
天気を予測することは、安全に楽しく登山をするためには欠かせません。
本格的な天気の勉強をしなくとも、ある程度の知識があれば、天気のことが大雑把にでもわかるようになります。
登山に限らず、日常の生活にも役立ちます。
そして、自分の予測が当たっていたりすると、少し嬉しくなります。
Contents
「天気図はこう見る」
といっても、教科書の話をしても仕方がないので、私なりの利用方法をご紹介します。
最近の天気予報は、かなり前からですが、かなり正確になってきました。
でも、数日先の予報となるとその精度も落ちます。
実際過去に、山小屋連泊のとき、予報では2日後が雨だったのが、晴れになったこともありました。
なので、私は、連泊のときは初日の天気は天気予報あてにしますが、2日目以降の天気予報を参考にはするものの、天気図も見て、おおよその天気の移り変わりを予測します。
そのポイントを以下にご紹介します。
出展:気象庁ホームページ
「気圧配置」
風は高気圧から低気圧に吹きます。
直線ではなくそれぞれの気圧を挟んで8の字を描くように、低気圧の中心に向かって渦を巻きながら吹きます。
注目するのは低気圧のほうです。
低気圧の周りを反時計回りに風は吹きます。
低気圧の中心に近いほど風は強くなります。
この辺は台風と同じです。
一般的に、偏西風の影響で、低気圧は西から東に、24時間で約1000キロ移動していきます。
(以前、間違えて1キロとしていました。お詫びして訂正します)
「等圧線の間隔」
等圧線の間隔が狭いと、風は強くなります。
風は、ほぼ等圧線に沿って吹きます(実際は低気圧の中心に向かって渦を巻いている)。
日本列島に等圧線が見当たらないこともありますが、そんなときは高気圧に覆われていて、比較的穏やかな天気といえそうです。
「前線の位置」
前線は大きく分けて、温暖前線と寒冷前線があります。
ざっくり言えば、暖かい空気と、冷たい空気がぶつかるところです。
どちらも、波型の出ている方に進みます。
かならずしも、いつも日本列島に前線があるとは限りません。
日本に前線がかかっているか、近くにあるときだけ注目します。
一般に、温暖の風は南方から、寒冷の風は北方からです。
同じ前線の中で、途中から温暖前線が、寒冷前線に変わることもあります。
温暖前線(赤色)の進行方向の前方では雨が降りやすくなります。
前線が通り過ぎると、晴れてきます。
寒冷前線(青色)が近づいてくると急に雨になる恐れがあります。
一般的には、低気圧の中心付近を含めて、全ての前線付近で雨になりやすいということを覚えておきます。
停滞前線や閉塞前線でも同様です。
ただ、停滞前線は名前のとおり、停滞しやすい事を覚えておきましょう。
「気圧配置」「等圧線の間隔」「前線の位置」という3つのポイントに注目して、登る山の場所と天気図を重ね合わせて見ます。
あとは、この3つのポイントに、山の傾斜を考慮すれば、大雑把な天気を予想できます。
風が山にぶつかると、上昇気流で雲が発生し雷や雨になることがあります。
前線と同じ理屈ですね。
天気図に前線がなくても、高い山は前線と同じです。
大雑把な天気予測ですが、以前、山岳部の学生が山小屋でラジオを聞きながら、天気図にデーターを記入し、詳細な天気図を作って天気を予測していたのを見たことがありますが、次の日の天気は私の大雑把な予測のほうが当たりました。
自慢と言うより、山の天気予測はそれほど難しいということですね。
もちろん、私のこの方法でいつも予測が当たるわけではありませんが、理屈としては間違っていないと信じて、連泊登山のときはいつも天気図を眺めて登ります。
そのほかにも登山中に天気の状態がわかることがあります。
「飛行機雲で天候を知る」
登山中は、はるか上空を通り過ぎる飛行機の飛行機雲が天候の安定性を教えてくれます。
雲ひとつない空でも、飛行機雲が出るときは空気が湿っている証拠です。
山の上においては、天候の崩れの恐れがあり、雷雲も発生しやすくなります。
飛行機雲がいつまでも消えず、長く尾を引くような場合は、天候の崩れが予想されます。
逆に、すぐ消えるような場合は、それほど心配は要りません。
飛行機雲が一切出ないときは、空気も乾燥して、かなり安定しているといえます。
「高気圧に覆われると、遠くの景色はかすむ」
高気圧に覆われると、天気は安定して晴れることになります。
しかし、遠くの景色は霞むのです。
なぜか?
低気圧は気圧が低い(空気が薄い)ので、まわりから空気が集まってきます。
集まってきた空気は行き場所をなくして、上昇気流が発生します。
上昇した空気は一気に冷やされ、雲が発生しやすくなります。
上空では、低気圧で上昇した空気は高気圧のほうへ流れていきます。
高気圧上空に集まった空気は地表への下降気流になり、空気中のチリを地表に集めます。
よって、高気圧に覆われると、天気が良くても遠くの景色がかすむのです。
決して、天候が悪くて霞んでいるのではありません。
「雨雲レーダーアプリで近い未来の雨を予測する」
スマートフォンで雨雲レーダーアプリを入れれば近い未来の雨を予測できます。
私は、「アメダスウィジェット」を使っています。
もちろん、無料です。
ウィジェットなので、アプリをいちいち立ち上げる必要がなく、すばやく確認することができるのが便利です。
他にもいろいろ機能がついているので、重宝しています。
以上、2回にわたって、山の天気についてご紹介しました。
私は、日帰り登山では天気の悪い日に上ることはありませんが、連泊の場合には初日が悪くても、次の日から回復傾向と予想されるなら登ることがあります。
そして、案の定晴れたりすることもよくある話です。
夏季シーズンに限定の話ですが、3連泊もすると1日くらいは晴れるものです。
私の天気の予報もいつも当たる訳ではありませんが、当たると思わずガッツポーズをとりたくなります。
もちろん、台風や梅雨のときは予想が難しくなります。
それでも、その時点の天気図を見ると、理屈どおりの天気にはなっています。
天気は意外と面白いので、興味のある人はさらに調べてみてください。