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行動食の一番の目的はしゃりバテの防止です
以前、簡単に行動食について触れたことがあります。
今回は、実際にオススメする行動食を、もう少し突っ込んで説明します。
ちなみに、行動食とは登山中に摂る食事であって、頂上についてゆっくり食べる食事とは違います。
登山は何時間も歩きます。
登山のスタイルにもよりますが、8時間くらいかけて北アルプスの縦走した場合の一日あたりのカロリー消費量は(ザックを背負って)、フルマラソンよりダントツに多いと言われています。
途中、カロリーを補充しなければ、ほぼ必ずといっていいほどしゃりバテを起こします。
しゃりバテというのは、エネルギー不足で体が思ったように動かなくなる状態を言います。
私も経験がありますが、一度しゃりバテになると、わずか数メートル登るだけでもとても辛く、そのスピードはガクンと落ちます。
しゃりバテに気が付いて食べ物を摂取するのですが、もう“時すでに遅し”で、なかなか回復しません。
行動食のことは知っていましたが、少しなめていました。
行動食をしっかり取ることの大切さを改めて実感しました。
行動食の基本は炭水化物
行動食に一番必要なのは、カロリーです。
しかも、体への吸収がゆっくりなものが理想です。
それは、炭水化物です。
米や小麦粉を使ったものがメインになります。
代表的なのはご飯、パン、麺類です。
せんべいのようなお菓子も含まれます。
ご飯ならおにぎり、パンならサンドウィッチ、麺類は行動食には難しそうですが、ベビースターラーメンのような乾燥麺も有効です。
そして、あまり栄養素に気を使う必要はありません。
日ごろから普通の食事をしているなら、一日程度の登山なら全くといっていいほど問題にはなりません。
歩きながら食べられるものがいい
歩きながら食べるのは危険だという意見があります。
私もそう思います。
しかし、食べ物によってはそれほど危険でもないようにも思います。
先ほど挙げた、おにぎりやサンドウィッチなどは、ザックから取り出すときは歩みを止めますが、そのあとは、片手で食べることが出来ます。
お菓子系だって、私は袋ごとポケットに入れて、食べるときはポケットに手を入れて袋を取り出して、もう片方の手で中身をつまんでそのまま口に入れます。
もちろん、岩場など危険なところでは食べませんよ。
保存の効くもの効かないもの
登山の行動食は、保存の効く乾物が一般的です。
でも、冷めてもおいしい「おにぎり」や「サンドウィッチ」なども全然ありです。
というのも、行動食は歩き始めて一時間もしないうちに食べ始めるからです。
おにぎりやサンドウィッチなら最初に食べれば、傷む前に完食することが出来ます。
乾物は後から食べます。
また、最初のうちにおにぎりを食べれば、荷物が軽くなるので一石二鳥です。
行動食であっても、食を楽しむために是非おにぎりやサンドウィッチを取り入れてみることをオススメします。
私たちも、真夏の北アルプス縦走のときでもおにぎりを持って上ります。
真夏といっても、登りはじめは朝早いので涼しく、登っていくと標高が高くなって涼しくなるというのはありますけどね。
ちなみに、おにぎりはコンビニおにぎりでも全然OKです。
甘いものより塩分が必要
カロリー摂取の為には甘いものを想像しますが、カロリーは炭水化物から摂取するのが基本です。
甘いものも悪くはないですが、エネルギーの効果は一時的でしかありません。
とても効率が悪いのです。
低カロリーでつらくなった時に甘いものは一時的には有効なので、ブドウ糖のサプリがアウトドアショップにも売っていますが、こまめに行動食を摂っていれば必要ありません。
それより、汗をかくことによるナトリウム(塩分)の補充のほうが大切です。
甘いものを食べてもいいのですが、ナトリウムの不足は命に関わります。
ちなみに、ナトリウムはスポーツドリンクからも得ることが出来るので、そこのところはバランスをとることができます。
寒いときはなぜか甘いものがほしくなる
雪山には基本登らないのですが、ザイルやピッケルを使わない程度の低山の雪山なら時々登ります。
そのとき感じたのは、甘いものを食べたくなることでした。
それ以来、冬山にはアーモンドチョコレートを持っていくようになりました。
やはり、汗をあまりかかないため、体が塩分を必要以上に欲しないということなのかも知れません。
冬の登山に限らず、寒いときの登山には甘いものをいっしょに持って行ってもいいかもしれませんね。
以上、行動食についていろいろ書きましたが、自分が食べておいしいと感じるものを選択することが大切です。
遠足のおやつ選びのように楽しみましょう。
私も最初のうちは、カロリーメイトやナッツ類のようなハイカロリーの栄養のありそうなものを選んで食べていましたが、すぐに飽きてしまいました。
今では、おにぎりやサンドウィッチ以外に、柿の種、醤油せんべいなど、普段食べたくてもカロリーを気にして食べないようなお菓子を行動食にしています。
しゃりバテ防止を言い訳に思う存分食べています。
とはいうものの、食べすぎは控えましょう。
水分補給のように、少しずつ何回かに分けて食べるのがコツです。
歩いているときは、空腹感を忘れがちですが、行動食を口にすると意外に食欲があることに驚きます。
また、生ものを除けば行動食は非常食にもなります。
軽いものなら、少し余分に持って行ってもいいでしょう。
食べ方も個人差や食品自体のカロリーの違いもあって、どれだけ食べるのがいいのか一概には言えませんが、経験上30分から1時間という適当なインターバルで、お腹がすく前に2口か3口食べる程度で大丈夫です。
行動食の大切さは、実際しゃりバテになってみないとわからないかもしれません。
ほんとつらいです。
私も女房もどちらも経験者です。
女性は特にカロリーを気にする人がいますが、登山のときは忘れてください。
しゃりバテだけは避けたいですからね。
ということで行動食のお話でした。